失敗しないことはいいことか

伊集院 妃芳

伊集院 妃芳

社員ブログ

最近の若者は覚えがいいとか、優秀だとかいう話をよく耳にする。聞こえはいいが、裏を返せば、失敗や回り道の頻度が少ないということでもある。私自身は元々コスパ重視の性格で、失敗はとても苦手だ。でも最近は思うことがあって、少し柔軟に動くように心掛けている。

そもそもなぜ失敗の頻度が少なくなっているのかを考えてみると、2つあるように思う。まずは情報が溢れているからだろう。何か始めようと思ったら、とりあえず関連するキーワードを検索する。すると特徴からコツまで、あらゆる情報が文章でも動画でも音声でも揃っている。自分でわざわざ試行錯誤しなくても、すでに試した人の答えを見ることができるので、自然と自らが失敗することは少なくなった。

そして、皆忙しすぎるからではないか。シゴトでもセイカツでも、常にしなければならないことに追われていて、回り道をしたりする余裕がないのかもしれない。タイパ(タイムパフォーマンス)という言葉が流行っているのがいい例だ。余裕がないと自分が失敗する暇もないのはもちろん、相手の失敗にもカチンときてしまうことがある。先日、コミュニケーションのすれ違いで、Web打ち合わせの相手が15分ほど遅れてきたことがあった。結局無事に終えられたので私は全然気にしていなかったのだが、後日メンバーからすごい勢いで謝られて驚いた。もちろん状況にもよるが、上手くいかないことは誰かを責めるのではなく、他のメンバーでカバーしあって、「そういうこともあるよ〜!気にしないで!むしろアレンジありがとう」と言えるくらいの余裕と寛容さを持ちたいな、と思った。

Photo by Takuya Sakawaki

先に話した通り、私は最近コスパを重視しないように心掛けながら物事に取り組むことがある。それは、コスパを重視するとどうしても過去に上手くいった方法や慣れているやり方にいきがちで、新しい技術やまだ試したことのない選択肢を無意識に排除してしまうからだ。いつも同じ方法で取り組むと何も考えずに済むので楽だが、選択肢の幅がないと、いつものやり方が通用しなくなったときに登れなくなってしまうなと感じる瞬間があった。もちろん期日が決まっていることも多いので、ゴール設定をしたうえで、ここまでは広げて、ここからは決めていくといった具合に回り道をする期日を決めておくと、失敗が苦手な私でも、少し安心して回り道ができる。いつも同じことをしてるな、と気づいたら、たまには違う選択肢を試してみる。ほんの少しずつでも、そんな余裕を持ちたいものだ。