専門性があってもキャリアの先細りが気になる?先生ナイトを開催しました
2023年8月29日にシゴトトセイカツラボ#1を開催しました。今回は「教えること」をテーマにした先生ナイト。普段教育機関や企業研修などで先生として活躍するメンバーで、3時間にわたってお話した内容を少しだけレポートします。食事やお茶をしながら、関心ある話題について相談し、全員で答えを見つけていくような形で進めました。
参加者の専門は理学療法、心理学、英語教育、人材育成、電子工作、アントレプレナーシップで、中高一貫校の教員や大学講師、企業や団体への研修をされている方です。
皆さん専門性を活かした仕事をされているものの、真っ先に出た話題は「キャリアの先細りが心配」という意外なものでした。国家資格を持ち今は問題なくても、今後人口が減少するにあたって需要が減るのではないかとか、AIに置き換わる仕事だと言われていることなど、理由は様々でした。「専門性」と聞くと、○○学と呼ばれるような学問を思い浮かべがちで、特に講師などをしていると専門性をどう活かすかを考えてしまいがちです。けれど実際はそれ以外(汎用性)で自分ができることを整理してみて、そのなかで普遍化できるものがあれば、それは自分の強みとして、専門性同様勝負できるものになるのでは?という意見がありました。
例えば、秘書という仕事はマルチタスクで、一見専門性がなく極めれば極めるほど他の職業に就くのは難しく見えますが、実際は秘書業務をするうえで身についた大量の仕事を並行して進める力や状況を観察する力、どんな上司ともうまく仕事を進められる力といったように整理してみると、秘書以外のあらゆる仕事で能力を活かせることがわかります。
自分の強みを整理するときは、自分だけでするよりも人に教えてもらうほうがいいというアドバイスも出ました。自分で把握する能力と、周りから見えている自分には乖離があることも多いためです。とはいえなかなか自分からは頼みにくいので、いつかラボでも強みを見つける会を開催してみたいです。
▲お弁当は数種類用意したので、希望を指差しして選ぶドラフトスタイルに。これが一番盛り上がり、初対面の皆さんも一気に打ち解けました。
また、「先生」と呼ばれる人に多いのは、バーンアウト。熱意のある人ほど要注意と言われています。参加者の周りでも、優秀だなと思った方がどんどん不調になってしまうのを見かけるとのこと。ちょうど参加メンバーにこの分野の専門家がいたので聞いたところ、タスク量が多いのはもちろんですが、役割が曖昧だったり、チームとしてメンバーと上手く協力して仕事ができないと、燃え尽きてしまうとのことです。
達成感を得られると心の健康につながる、という話があったのですが、完璧主義だったりそもそも気持ちに余裕がないと、達成感を得難いこともありますし、そもそも気分が乗らない仕事を任されることもあります。そんなときは、「これは楽しんで取り組む仕事!」と最初に決めてしまって、楽しむ努力をするといいという意見がでました。はじめは嫌だったけれど終わりが見えてきたら急に名残惜しくなって、精一杯できていなかったことを後悔した、というエピソードも。自分の気持ちを前向きにする工夫はほかにもありそうです。
▲開発中のプロダクトを紹介すると、ポジティブな意見がどんどん出ました。
今回はたまたま参加者全員が女性だったので、男女におけるコミュニケーションの差や最近企業研修等でよく聞くお悩みの話もたくさんありました。例えば、ワークショップを男女混合で実施すると、特定の男性がグループをリードしたり、発言の割合が偏ったりします。発表後の質疑なども内容に対して正解か不正解かという論点で議論されることが多いです。一方で女性のみのワークショップは、発言の少ない方が話せる機会を自然に作ったりして、グループのメンバー全員の意見が反映されるように皆が意識します。質疑も、正しいかどうかよりも良かった点を褒め合ったり、もっとよくなるためのアドバイスが多く、批判的な意見はほとんど出ません。参加対象者の属性やゴール設定に応じて、皆さんワークショップの設計に工夫があって、とても参考になりました。
帰るころには初対面とは思えないほど仲良くなっていたのが印象的でした。今回、対象者を限定しての開催は少し不安もありましたが、立場が違ってもお互いをリスペクトし合いながらお話する様子が印象的で、開始早々深い議論をすることができました。早速、参加者同士で繋がって新しい取り組みが生まれそうです。
実は今回、会の最後にシゴトトセイカツの伊集院から、キャリアに関する新しいテーマの相談をしています。考える上での切り口やエピソードなどヒントをいただきましたので、もう少しまとめたら、ラボとして皆さんと一緒に考える場を作ろうと計画中です。また、じっくりと皆さんとお話ができる機会を楽しみにしています。