事務所にレーザーカッターを導入しました

合同会社シゴトトセイカツ

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シゴトトセイカツの事務所にレーザーカッターを導入しました。

機種はxTool社が販売するxTool M1です。従来の業務用レーザーカッターに触れたことのある方はご存じかと思いますが、一般的にレーザーカッターは大型プリンターと同等かそれ以上の大きさで、切断や彫刻の際に出る煙や臭いの処理のために別途工事が必要だったり、煙を逃がすために置く場所を工夫する必要があります。また、機器そのものも数百万と高額ですが、加えて年間の維持費もかかることが多いため、導入には慎重になりがちです。

今回導入したM1はxTool社が販売する機種のなかでも家庭用のクラフトマシンという位置づけで、組み立てや排煙処理の工事等は基本的に不要、大きさも一人用の作業デスクに収まる程度で、従来のものほど場所を取らずに設置できます。

シゴトトセイカツでは、これまでにSTEAM教育やアントレプレナーシップ教育のなかでレーザーカッターやカッティングマシン等を活用した授業やプログラムを数多く実施してきましたが、レーザーカッターの更なる可能性を模索したく、事務所に導入しました。

1週間もかからずに荷物の手配ができたので、レーザーカッターに詳しい機器インストラクターやレーザーカッターを使って作品を手掛けるデザイナーにお声掛けし、5月上旬にM1の開封会兼お試し会を開催しました。

購入したのは、M1の本体のほかにM1ライザーベース(ハニカムパネル付き)+RA2 Pro+四つ増高柱+エアアシストセット+煙清浄機+無料素材パックが入った、All in バンドルです。

※以下サイトの翻訳説明文に加え、括弧書きで追記しています。

  • M1 ライザー ベース:M1専用多機能ライザー ハニカムパネル付き(高さがある素材に対応できる)
  • RA2 Pro+四つ増高柱:円筒のモノに加工(動かないよう固定するもの)
  • エアアシストセット:きれいな表面と滑らかなエッジ(切断や彫刻の際の焼けを防ぐ)
  • 煙清浄機:3 層フィルターと 99.97% の煙除去率(窓等排煙を気にせず使用できる)

組み立て不要とのことで少し油断していましたが、さすがAll in バンドル、大量の段ボールが届きました。本体や煙清浄機は各10kgほどあります。

本体機器は組み立て不要でしたが、ライザーベースやエアアシストセットを機器本体に取り付けるのは自分たちで行います。説明書は日本語表記もありますが、基本は絵で説明するものだったので、まずはxTool社のyoutubeを見ながら行い、見づらい部分があれば説明書で確認していきます。

開封から組み立てまでおよそ1時間半かかりました。以下がすべて設置した様子。作業デスクが一台つぶれるかなと思っていましたが、一応最低限PCを置くスペースが確保できました。

M1で加工できる素材は、業務用のレーザーカッターとほぼ変わりません。ただ、業務用のレーザーカッターは出力の強いCO2レーザーに対しM1は小型が特徴のダイオードレーザーを使用しているため、透明なアクリル板の切断はできないなど、少し注意が必要です(水性ペンで塗れば彫刻は可能らしいのですが、まだ試していません)。M1はワット数が小さいため、厚みがあるものは何度か加工することになりますが、ブレもほぼないため、大きな問題はなさそうです。

加工はレーザーによる切断や彫刻のほかにブレードによる切断ができます。ブレードはレーザーで加工できないようなビニールなどを切断する際に使用します。

M1で対応可能な素材

  • 切断 : 紙、木、革、MDF、フェルト、一部の暗い不透明アクリル
  • 彫刻 : 紙、木材、革、MDF、ステンレス鋼、一部の暗い不透明アクリル、竹、布地、濃い色のガラス、セラミック、翡翠、大理石、頁岩、セメント、レンガ、メッキ金属、塗装金属
  • ブレード : 紙、布、ビニール、革

お試しの素材は各自端材等を持ってきていただいたのと、事前に100円ショップでよさそうなものを購入したものを使用しました。100円ショップで木板やフェルトなどは揃いましたが、購入した革のポーチはPUレザーで彫刻できない素材だったため、後日再度挑戦しようと思います。ありそうでなかったはコルクのコースターで、珪藻土のものばかりでした。今回は購入しませんでしたが、珪藻土も彫刻できそうなので、こちらも改めて挑戦してみます。

実際に使用してみて、M1の素晴らしい点は主に3つありました。まず、データの加工にイラストレーター等のスキルが不要なことです。データの加工はxTool Creative Space  V2.0 という無料のソフトウェアが提供されており、直観的に操作することができます。普段レーザーカッターを使った授業をする際は、イラストレーターの使用方法の説明に時間を取られてしまうのですが、このソフトウェアなら初見でも使えそうです。驚いたのは、タブレット端末やスマートフォン等、PC以外でもデータを作成できること。実際にiPhoneで試してみましたが、画面が小さい分、必要に応じて拡大したりすれば加工できました。

次に、カメラが内臓されており、機器内に配置したものをリアルタイムに確認し、データを作成することができるのがとても便利でした。カメラが内臓されているレーザーカッターは少ない(or高い)気がしますが、M1はこの価格でカメラが内蔵されており、カメラ画像をもとに作ったデータでブレもなかったので、精度もよいと感じました。(写真は公式サイトより)

最後に、予め素材がいくつか登録されており、選択するとパラメータが表示される点です。通常は本番加工前に素材の端などにテスト加工してみて、最適なパワーやスピードを探ります。機器によって多少パワーが異なるため、必ず加工前に行いますが、本ソフトウェアには目安のパラメータがあるため、どれくらいの濃さや強さで加工できるのかを素早く判断することができます。出火の危険を回避できるので、安全性も高いと感じました。また、オートフォーカスがついているため、もし素材の厚みがわからない場合も自動で認識して測定してくれます(ただ、精度が不安な方はご自身で測るのをおすすめします)。(写真は公式サイトより)

今回は素材を試すことが中心だったため、具体的な作品制作までは至りませんでしたが、いくつか作例ができましたら改めてご紹介します。また、幅広い方に利用いただくことで、レーザーカッターの可能性を模索したいと考えていますので、ワークショップ等も企画予定です。機械に苦手意識がある方やレーザーカッターに触れたことがない方にこそ、ぜひご参加いただけると嬉しいです。